札幌地方裁判所 昭和45年(ワ)1672号 判決
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〔判決理由〕<証拠>を総合すれば、別紙目録記載の物件(編注・応接セット、テレビ等動産七点)はもと訴外佐々木岩蔵の所有であつたが、昭和四四年一月一七日同訴外人と原告との間で同訴外人が原告に対して負う借受金債務の担保とするため右物件につき譲渡担保契約を結び、所有権を原告に移転した事実が認められ、この認定に反する証拠はない。しかして、右譲渡担保契約の被担保債権がいつ発生したいくらの貸金債権であるかについては、甲一、二号証の記載と証人佐々木岩蔵の証言はそれぞれまちまちで、なんらかの賃金債権があつたという以上にその評価を認定することができないが、いくばくかの貸金債権が存在した事実が認められなくはない以上、原告が別紙目録記載の物件について譲渡担保権を有するものというに妨げはない。
ところで、譲渡担保契約における担保権実行型式としては代物弁済型ではなく精算型をもつて原則と解すべく(最判昭四三・三・七民集二二・三・五〇九)、かかる精算型譲渡担保においては、担保権者は弁済期を経過しても被担保債権の弁済がない場合、目的物件を適宜の方法で換価して売却代金を被担保債権の弁済に充てることができるが、弁済に充当して剰余があればこれを物件提供者に返還しなければならず、また債務者は債権者による換価処分があるまではいつでも被担保債権の弁済と引き換えに担保物を取り戻すことができるのである。かかる内容の権利を有するにすぎない譲渡担保権者は、未だ換価処分に至らない間は第三者の債務者に対する担保物を目的とする強制執行についてこれを全面的に排除するよう求めることはできず、民訴法五六五条の優先弁済を求める訴の限度でその限度でその権利を主張することが許されるにすぎないものというべきである(東京高判昭四四・一・二四高民二二・一・三五。なお大阪高判昭四四・九・一六下民二〇・九・一〇合併号六五五参照。)。
しかるところ、本件において目的物の換価に至つたことの主張立証はないから、本件強制執行の全面的排除を求める原告の請求は理由がなく、また被担保債権の発生原因および数額の主張立証がない本件においては右優先弁済権確認の限度で原告の請求を認容する余地もない。
(稲守孝夫)